百日咳の流行と3種混合ワクチンの追加接種について 2025/05/09更新
百日咳流行のニュースが増えました。
2018年以降で、週あたりの患者が一番多くなっています。
この病気は、2歳ごろまでに4回接種をする3種混合、4種混合、5種混合ワクチンを接種していると、罹患(感染)の可能性が下がります。
重症化しやすいのは乳児期、特に生後3ヶ月未満です。このこともあり、以前は生後3ヶ月から接種していた上記のワクチンですが、今は生後2ヶ月から接種するようになりました。
なので、ワクチンを接種できていない生後1−2ヶ月の赤ちゃんがかかってしまわないように気をつける必要があります。
一方で生後間もない時期以外で、百日咳にかかりやすい年齢もわかっています。4回の予防接種の効果がきれてくる就学前から、10代のお子さんたちです。
なので、就学前(5−6歳)と11−12歳のお子さんたちに3種混合のワクチン接種が海外ではおこなわれていて、日本でも推奨はされています。ただこのワクチンが任意接種で有料(当院では5100円)なこともあり接種率がひくいことが残念な状況です。
これらのことについて東京医科大学の先生が記事を書かれています。参考にしてください。
記事にある図を引用しておきます。就学前から10代が多いことが良くわかります。
今年は百日咳の流行が大きくなっていますので、できれば5−6歳以上のお子さんたちは3種混合のワクチンの接種をおすすめしたいです。特にこれからお子さんが生まれる予定で、お兄ちゃんやお姉さんになるお子さんたちにはおすすめします。
→現在ワクチンが不足しています。ワクチンが入荷した際には予約枠を開けていますので、こまめにワクチン予約をチェックしていただければと思います。
予防接種が難しいようであれば、手洗いやマスクで感染を予防しましょう。コロナが流行していた時期は百日咳の流行は偶然かもしれませんがおさまっていました。
お子さんが咳が出るときはあまり赤ちゃんに近づかないで下さい。百日咳もですが、RSVウイルスやヒトメタニューモウイルス感染症などの気道感染症は、赤ちゃんがかかると重症化しやすいです。
下図は、前回百日咳の流行があった2019年のデータですが、0歳のお子さんに感染者が多いこと、その多くは3回未満のワクチン接種であることがわかります。
生後2か月からワクチン接種できますので、2か月になったら速やかにワクチン接種をすることが大事です。通常2か月、3か月、4か月の3回接種となります。
引用は、下記の小児科学会のホームページ内にあるPDFからになります。
https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/VIS_A-08shougakkou_20240401.pdf
最後に重症化しやすいワクチンを接種できない時期の生後間もなくの赤ちゃんの百日咳をどう防ぐかですが、海外では妊婦さんに3種混合を接種することで、効果があることがわかっています。インフルエンザワクチンやRSウイルスのワクチンを妊婦さんに接種すると赤ちゃんを守れるのと同じ考え方です。ただ日本の3種混合と海外の3種混合は厳密には違います。一応、当院でもよく紹介させていただいているVPDのホームページには一応記載がありますが、どこまで推奨してよいかは判断が難しいです。
こどもとおとなのワクチンサイト での記載でも、日本の3種混合ワクチン(トリビック)での妊婦への安全性は確立していないと書かれています。輸入した海外製Tdap(成人用三種混合ワクチン)の接種のほうが安全性は確立しています。妊婦健診を受けられている産科の先生にご相談ください。
https://www.vaccine4all.jp/news-detail.php?npage=2&nid=143
2025年4月25日に日本産科婦人科学会からの発表もありました。
https://www.jsog.or.jp/news_c/9890/
上記はPDFですので、PDFがうまく見れない場合は、下記のリンクに内容をまとめた記事があります。
https://medical-tribune.co.jp/news/articles/?blogid=7&entryid=567323
埼玉県のわかりやすいデータがあると良かったのですが見当たらなかったので、下記の東京都のデータをリンクします。
どの程度の流行なのか、何歳ぐらいでの報告が多いのかなどが確認できます。
https://idsc.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/diseases/pertussis/pertussis/
3種混合ワクチンの追加接種については当院HPの下記もご覧ください。