子宮頸がんワクチンの交互接種について

子宮頸がんのHPV9価ワクチンが2023年4月から定期接種になりました。

問題となりそうな部分は、過去にガーダシル、サーバリックスを接種しているお子さんたちがシルガード9をどう考えればよいかです。

以下のリンクに書いてある通り、3回接種終了されているお子さんは、シルガード9の追加接種は推奨されていません。

また途中まで接種している方は原則として同じ種類のワクチンを接種することを厚生労働省はお勧めしています。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/hpv_9-valentHPVvaccine.html

ただし、医師と相談のうえ、途中からシルガード9に変更することは可能とされています。そしてこの交互接種を推奨することに対する効果やリスクについての科学的な知見が限定されていますと書かれています

 

なので 上のリンク先でも以下のように説明されています。

Q5:2価ワクチン(サーバリックス)または4価ワクチン(ガーダシル)を接種すると、9価ワクチン(シルガード9)は接種できないのですか?
○サーバリックスまたはガーダシルで規定の回数(3回)接種が完了している場合
 世界保健機関(WHO)や米国疾病予防管理センター(CDC)は、シルガード9の追加の接種を推奨していません。これは、サーバリックスまたはガーダシルでも、子宮頸がんに最も関与の強い型であるHPV16/18型(※)の感染予防に効果があることや、異なる種類のワクチンを接種した場合の有効性と安全性についてのデータが限られていることからです。
(※)HPV16/18型が子宮頸がんの原因の50~70%を占めます。

 

○サーバリックスまたはガーダシルを1回または2回接種している場合
 原則として同じ種類のワクチンを接種することをお勧めしますが、医師と相談のうえ、途中からシルガード9に変更し、残りの接種を完了させることができます。この場合も定期接種の対象となります。また、キャッチアップ接種の対象の方も、途中からシルガード9に変更し、残りの接種を完了させることができます(※)。
 なお、サーバリックスまたはガーダシルで接種を開始し、定期接種としてシルガード9で接種を完了させる場合は、シルガード9の接種方法にあわせ、1回目と2回目の間隔を1か月以上、2回目と3回目の間隔を3か月以上あけて接種します。
(※)異なる種類のワクチンを接種した場合の効果と安全性についてのデータは限られています。

 以上引用部分です。

 

実際、世界保健機関(WHO)も世界の国々でも僕の知る限り交互接種を推奨している国はないです。過去に大規模研究でのは存在しないために科学的な知見が限定されています。

それでは限られたデータがどの程度かということですが、横浜市立大学の産婦人科教授 宮城 悦子先生は2023年2月に以下のような交互接種に関する資料を作成されています。

安全性と効果はあるのではと書かれています。

https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/001054092.pdf

ここで引用されている論文は以下の論文です。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6746485/pdf/khvi-15-7-8-1605278.pdf

1回目をガーダシルで接種して、3-8年後(平均5.4年後)にシルガード9を接種しています。データの人数は31人です。

接種条件は日本の今回のケースとは異なり、人数もこれくらいのデータです。

科学的な知見が限定されるということはこういう理由からです。

 

悩まれると思いますが、以上の流れを理解したうえであれば交互接種を希望される場合、当院で接種可能ですのでご連絡ください。

 

 

 

 

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