当院におけるインフルエンザ治療薬の選び方・処方方針
はじめに
インフルエンザは、ウイルス感染症の中では数少ない「抗ウイルス薬(治療薬)」が存在する病気です。(※ただし、インフルエンザ脳症のような重症化した状態には抗ウイルス薬は効かないため、ワクチンによる事前予防が最も有効です)
治療薬には飲んだり吸ったりするいくつかのタイプがあり、年齢や状態に合わせて使い分けます。
●主な治療薬の種類と特徴
1. タミフル(内服薬)
回数・期間: 1日2回 × 5日間
対象: 生後2週間以上(体重2,500g以上)の赤ちゃんから使用可能
特徴: 長年の実績があり、小児にも最も安全に使われている標準的なお薬です。
2. ゾフルーザ(内服薬)
回数・期間: 1日(1回のみ)
対象: 新生児から使用可能(錠剤・顆粒)
特徴: 1回の服用で済むため飲み忘れがありませんが、年齢や型(A型・B型)によって推奨度が異なります(詳細は後述)。
3. リレンザ(吸入薬)
回数・期間: 1日2回 × 5日間
対象: しっかり吸入ができるお子様(6歳くらいヵら)
4. イナビル(吸入薬)
回数・期間: 1日(1回のみ)
対象: しっかり吸入ができるお子様(6歳くらいから)
*処方頻度は高くないですが、漢方薬(麻黄湯)による治療も行っています。
効果は上記インフルエンザ薬とほぼ同等との報告が多いです。
●日本小児科学会による「ゾフルーザ」の推奨状況
(2025/2026年シーズン指針より)
*おそらく2026/2027シーズンのが10月中に発表されます。
1日1回で済み、消化器症状も出にくいゾフルーザは魅力的ですが、学会の推奨では年齢やウイルスの型によって以下のように分けられています。
12歳以上: A型・B型ともに推奨
6歳〜11歳: B型には使用を提案 / A型には慎重に検討
1歳〜5歳: 基本的には慎重に検討(B型は状況に応じ検討)
なぜ年齢によって推奨が違うの?
・低年齢のお子様ほど、ゾフルーザ服用後にウイルスが薬に耐性(変異)を持つリスクが高くなると言われているためです。(※将来的にこの心配がないと判断されれば、より処方しやすくなる可能性があります)
●当院の処方方針
当院では、「より安全でリスクの少ない治療」を第一に考えています。
・12歳未満のA型インフルエンザ
原則として、ゾフルーザ以外の安全性の高いお薬(タミフルや吸入薬など)をおすすめします。
・6歳〜11歳のB型インフルエンザ
学会の提案に基づき、ゾフルーザをご提案するケースが増えています。
・5歳未満のお子様
基本的には実績の豊富なタミフルをおすすめしています。
・過去にタミフルを嘔吐などでうまく飲めなかった方
吸入薬への変更や、麻黄湯などの漢方薬、ゾフルーザなど、別の選択肢をご提案しますのでご安心ください。
ご不安な方はお気軽にご相談ください
「どうしても薬を嫌がって5日間飲めない」「特別な事情で1回で終わらせたい」「タミフルで消化器症状(嘔吐)がでて薬が飲めなかった」など、ご家庭の状況によってお悩みがあるかと思います。
お子様の状態やご希望に合わせて最適な治療をご提案いたしますので、診察時に気兼ねなくご相談ください。





















